京都の老舗和菓子メーカーを率いるAさんは、三代目の経営者です。半世紀以上続く看板商品「あん菓子」を守りながら、時代に合わせた改革にも挑み続けてきました。
ここ数年、原材料費の高騰が経営を直撃しています。
「コストを抑えれば利益は出るが、品質を落とせばお客様の信頼を失う」――。味とコスト、伝統と効率。そのあいだで揺れ動くトレードオフが、経営の意思決定を難しくしていました。
感覚や経験だけに頼る判断を、もう一度“見える化”したい――。
Aさんは、自身の勘と経験を数字で支える方法を探るため、数理最適化AIチャット「Gurobot」に相談を持ちかけました。
「どこまで妥協すればいいのか」「何を守るべきなのか」。職人たちの技を支える“感覚”と、企業としての“持続性”の両立。
前編では、そのバランスを探るために、Aさんは新たな一歩を踏み出します。
はじめまして。私は京都で和菓子の製造・販売を行う会社を経営しているAと申します。1960年に発売開始した「あん菓子」を全国の百貨店にも展開しており、手土産としても重宝頂いています。
ここ数年、原材料費の高騰が続いており、経営としてはコスト削減を強く求められる一方で、品質を落とすとブランド価値が損なわれかねません。現場からは「原料を変えればコストは下がるが、味や見た目が変わる」「製造ラインを減らせば効率は上がるが、納期リスクが増す」といった意見が出ています。
経営者として、どちらをどこまで優先すべきか、判断に迷っています。
Gurobotさん、こうした“トレードオフのある経営判断”を、感覚ではなく再現性のある形で整理するには、どうすればよいでしょうか?
知識ベースから、Tata Steel社やHolland Malt社の事例が見つかりました。これらは原材料のブレンド最適化という点で、和菓子製造と共通しています:
これらと同様に、和菓子の場合も以下のような最適化が考えられます:
例:あんこの原材料ブレンド最適化
■ 問題を整理するための確認事項
Aさんの状況に最適な最適化モデルを設計するため、以下の点を教えていただけますでしょうか:
1. 意思決定の対象(何を決めたいか)
2. 最も重視する目標(優先順位をつけるなら)
3. 譲れない制約条件
4. データの有無
これらの情報をお聞かせいただければ、具体的な数理最適化モデルの設計方針をご提案できます。まずは、「何を一番決めたいか」から教えていただけますでしょうか?
また、もし「最適化モデルとは何か」について、より詳しく知りたい場合は、数式を使った説明や、簡単な例題での実演もお見せできます。いかがでしょうか?
ご丁寧な説明をありがとうございます。正直なところ、数理最適化という言葉自体を最近知ったばかりでして、まだピンときていない部分も多いのですが、事例を交えて説明いただけたので少しイメージが湧きました。
うちの場合は、まさにおっしゃっていた「あんこの原材料ブレンド」が課題に近いかもしれません。北海道産の小豆を中心に使っていますが、ここ数年は価格が高騰しており、他県産や輸入豆とのブレンドを検討しています。ただ、味や色、風味を落とすとすぐにお客様から「いつもと違う」と言われてしまうので、妥協できる範囲が難しいんです。
ですので、まず私としては、
「どの程度まで代替原料を使っても品質が落ちないか」
「どのラインまでコストを下げても、お客様に違いがわからないか」
――このあたりを数字で“見える化”できるとありがたいです。
目標としては、品質を最優先にしながらも、無駄を減らしていく方向を考えています。いきなり難しい数式ではなく、まずは簡単なサンプル(例えば2~3種類の原料を混ぜる例)で、どんな考え方をするのかを見せていただけますか?
それを見ながら、「うちの製造データでできそうかどうか」を考えてみたいです。
数理最適化にご関心をお持ち頂き、ありがとうございます。簡単なサンプル例を用いて、品質とコストのトレードオフについてイメージが付きやすいよう表形式にまとめてみました。それぞれの点数に応じて、コストが最小になる原料組み合わせを求めます:
| 品質基準 | コスト | コスト削減率 | 配合 |
|---|---|---|---|
| 75点 | 80,000円 | 33%削減 | 北海道43%、輸入57% |
| 80点 | 90,000円 | 25%削減 | 北海道25%、他県75% |
| 85点 | 100,000円 | 17%削減 | 北海道50%、他県50% |
| 90点 | 110,000円 | 8%削減 | 北海道75%、他県25% |
| 95点 | 120,000円 | 0%削減 | 北海道100% |
■ 経営判断のための材料
つまり、このモデルは:
■ 実務への応用のために
A様の会社でこのアプローチを使うには、次のデータを整理する必要があります:
1. 原料データ
2. 品質評価の定量化
3. 品質基準
■ 次のステップ
この簡単な例を見て、以下のような疑問や発展形があれば、さらに詳しくご説明できます:
まずは、この例を見て「うちのデータでもできそうか」のイメージが湧きましたでしょうか?
もしくは、「もっとこういう条件を入れたい」「こういう場合はどうなるか」といった具体的な質問があれば、お聞かせください。
とても分かりやすい例をありがとうございます。
こうして数字で見ると、「品質をどこまで落とすと、どのくらいコストが下がるのか」が一目で分かって、なるほどと思いました。これまでは、職人の勘と経験に頼って「たぶんこのぐらいなら大丈夫だろう」とやってきましたが、こうして表にしてもらうと、経営会議でも話がしやすくなりそうです。
一方で、うちの和菓子の場合、あんこの“味の輪郭”というか、口に入れたときの“余韻”のような部分が数字では表しにくく、品質スコア85点と90点の違いが、お客様にとってどう感じられるかは慎重に見極めたいところです。おっしゃるように、実際に官能評価をして「どの点数ならお客様が違いを感じないか」を確かめるのは、とても現実的なステップだと感じました。
もう少し教えていただきたいのですが、もし、原材料の価格が季節や仕入れ状況で変わる場合、この最適な比率もその都度自動で組み替えられるような仕組みにできるのでしょうか?また、商品ごとに味の方向性(こしあん、つぶあん、白あん)が異なるので、複数の商品をまとめて最適化することも可能なのか、イメージを伺えればと思います。
具体的に考えて頂き、ありがとうございます。2つのご質問に回答させて頂きますね。
まず、数理最適化でできることから解説します。もし手応えを感じていただければ、その後のステップも整理しておきますので、ぜひ検討してみて下さい。
1. 複数製品の同時最適化
できること:
実務的な価値:
2. 価格変動への自動対応
できること:
発見された戦略的示唆:
■ システム化への道筋
レベル1:表計算ソフト + 手動計算(現在検討中)
レベル2:半自動システム
レベル3:統合システム
■ 実現のために必要なこと
データ整備
初期テスト
■ 次のステップのご提案
A様の状況に応じて、以下のような進め方が考えられます:
パターンA:まず小さく試す
パターンB:全体設計を先に固める
パターンC:外部専門家との連携
■ ご質問
これらを教えていただければ、より具体的な導入プランをご提案できます。
また、もし「こういう条件も考慮したい」(例:賞味期限、保管コスト、発注ロットの制約など)があれば、それも含めたモデルに拡張できますので、お聞かせください。
ご丁寧なご説明をありがとうございます。
具体的な例を見せていただいたおかげで、だいぶイメージが湧いてきました。特に、複数の製品で原料をどう配分するか、季節によって配合を変える考え方など、まさに日々の現場で直面している悩みそのものです。(後編へ続く)
▽Gurobot連載第3回|意思決定は“再現可能”にできる(後編)は近日公開予定です。
▽Gurobot(グロボット)公式ページはこちら
https://www.gurobi.com/solutions/gurobot/
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