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企業の利益率を1%上げる“パラメータ思考”とは 第2回|私たちの生活を支える”数理最適化”5つの事例から学ぶ

パラメータ思考が導く、部分最適から全体最適への一歩

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企業の利益率を1%上げる“パラメータ思考”とは 第2回|私たちの生活を支える”数理最適化”5つの事例から学ぶ

パラメータ思考が導く、部分最適から全体最適への一歩

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企業の利益率を1%上げる“パラメータ思考”とは 第2回|私たちの生活を支える”数理最適化”5つの事例から学ぶ

パラメータ思考が導く、部分最適から全体最適への一歩

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Dr. Nobuo Inui

Senior Manager of Consulting Group

Dr. Nobuo Inui

Bio

「最適化」と聞くと、AIや難解な数式の世界を想像し、「うちには関係なさそうだ」と感じる方もいるかもしれません。けれど、その本質はもっとシンプルで、もっと身近なものです。

本記事は、株式会社Gurobi Japan 最適化コンサルティング シニアマネージャー・乾伸雄氏による連載「企業の利益率を1%上げる“パラメータ思考”とは」の第2回。今回は、数理最適化の思考が実際の企業でどのように経営判断に活かされているのかを、複数の事例を通してひもといていきます。

複雑に見える現実の中にある「動かせる部分(決定変数)」を見つけ出し、整理して、整えていく。そのプロセスには、どんな企業にも役立つヒントが詰まっています。

> 第1回|意思決定の精度を高める「切り分け」の技術
> 第3回|“最適”は、いつも足元から始まる


1. 「最適化」という言葉に、どこか距離を感じていませんか?

「最適化」と聞くと、AIや数式、ビッグデータといった専門的なイメージが先に浮かぶかもしれません。そして、「自分たちには関係ない」「大企業や先端企業の話でしょう」と思われる方もいるかもしれません。

けれど最適化は、もっと身近なところにあります。

たとえば、毎日の業務のなかで「どう判断すればいいか迷っていること」や、「担当者によってやり方が違っていること」。そうした場面には、たいてい“整える余地”があります。最適化とは、まさにそうした複雑さをほどき、構造として見直していく考え方なのです。

本記事では、製造・物流・サービス・社会インフラなど、さまざまな領域で「何を変えて、何を固定するか」という視点を持ち、成果につなげた事例をご紹介します。

パラメータ思考は、特別な技術者だけのものではありません。どんな業種でも、どんな規模の組織でも、「よりよい判断」を支える道具になってくれます。

2. 裁断業務の属人化を解消──最適化が「判断の質」を再構築

最適化は、人の判断を奪うものではありません。むしろ、“整える”ことで経営判断の質を高めてくれる——そんなことを教えてくれるのが、カネカ滋賀工場の事例です。

母材となる原料から受注ごとに異なる製品を裁断する工程は、属人化しやすく、負荷や判断のばらつきが大きな課題でした。

そこでGurobiを活用し、「どの母材を使い、どのような製品を組み合わせるか・どの順番で裁断するか」という複雑な判断を行うためのパラメータを整理。自動的に最適な計画が立てられるようになり、裁断作業時間の短縮に加えて、在庫の偏りや検査のムダも減りました

判断を仕組みに支えてもらうことで、人が本来向き合うべき仕事に集中できるようになったのです。

3. 水道の“見えない判断”を数式に──エネルギー効率を支える最適化の力

次は、社会インフラにおける最適化の事例を見てみましょう。

東京都立大学の荒井研究室では、水道の送配水ネットワークにおけるエネルギー効率の向上に取り組んでいます。水をどこから、どのルートで、どれだけ送るのか——従来は経験に頼っていた判断を、Gurobiで求解。パラメータを整理することによって、さまざまな問題を解くことができます。必要な水を必要な場所に届けながら、消費電力を最小に抑える計画を自動で導き出せるようになりました。

最適化は、こうした日々の“目に見えない判断”を支え、持続可能な都市づくりをそっと後押ししてくれます。 

4. トヨタの世界戦略を支える最適化──環境規制と利益を両立する最適な商品構成とは?

環境規制という、より大きな視点でもパラメータ思考は活かされています。

トヨタ自動車では、各国・各地域で異なる燃費や排ガスの規制に対応しながら、収益性の高い車種をどう組み合わせて生産するかという難題に向き合ってきました。

これまで人手で繰り返されていたシミュレーションを、Gurobiを活用した最適化モデルにより、瞬時に多角的に判断できるようになりました。規制を満たしつつ利益を最大化するために、「何を、どれだけ」作るかという困難な問題を、パラメータを整理することによって、誰でも再現可能な意思決定へと変えたのです。 

5. 足りないトマトソースも、見えない最適化が届けてくれる──Instacartの舞台裏

海外では、日常の買い物体験にも最適化の発想が活かされています。

食料品のオンデマンド配送サービスを展開するInstacartでは、利用者・配達員・店舗・広告主という4つの立場が絡み合うなかで、注文から配達までをスムーズに進めるために数理最適化を導入しました。

Gurobiを用いることで、店舗の選定、複数注文の効率的な束ね方、配達員の割り当てなどを瞬時に最適化。目に見えない最適化の力が、“夕方の買い忘れ”すら快適にカバーしてくれる世界を支えています。 

6. 256試合、32チーム。奇跡のスケジュールを支える“最適化”

最後は、スポーツファンにとっても驚くべき事例をご紹介します。

アメリカNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)では、毎シーズン256試合、32チームによるスケジュールを組むという、数百京のスケジュールの中からベストな一つを選ぶ作業を行っています。

各チームの移動距離、会場の空き状況、放送局の希望など、膨大な制約条件の中から「最も納得のいく日程」を見つけるために、Gurobiによる最適化が活躍しています。

ひとつのスケジュールの裏には、数百京通りの候補と、それを支える数理の力がある——そんな舞台裏をのぞくような事例です。 

7. パラメータ思考が導く、“全体最適”という視点

ここまでご紹介してきた事例の背景には、共通してある視点があります。それが、「何を前提にすることで、何を求めるか」を明確にするパラメータ思考です。

裁断計画の属人化に悩んでいたカネカは、「材料の選び方」や「工程順」を決定変数として整理することで、判断そのものを仕組みに委ねられるようになりました。東京都立大学の水道モデルでは、「流す量」と「通す経路」を操作可能な決定変数として捉え直すことで、電力使用量を最小化する設計が可能になりました。トヨタでは、環境規制や利益といった制約のなかで、「どこで何をどれだけ作るか」という問いに、数理的な“答え”を与えるモデルが構築されました。

これらはすべて、「部分ごとの最適」ではなく、全体としてどうあるべきかという視点から、判断の構造を“見える化”し、整えていった例です。この結果、

  • パラメータ思考があれば、属人化した判断を仕組みに変えられます。

  • パラメータ思考があれば、制約の多い状況でも柔軟な選択肢が見えてきます。

  • そして、パラメータ思考があれば、「いま、何をやればいいのか」が自然と見えてきます。 

“全体最適は、一つひとつの判断を整え、つないでいくことで初めて見えてくる。パラメータ思考は、その“道筋”を照らす技術です。”

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