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身近な問いから始める数理最適化【第2回B】「この荷物、どう積む?」

AIはとても強力な道具ですが、「もっともらしい答え」を返す一方で、必ず正しいとは限りません。制約条件や目的を一つひとつ言葉にしながら、数理最適化によって、あなたのすぐそばにある日常や仕事の悩みを「どう解決を目指すのか」を具体的な事例とともに見ていきます。

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身近な問いから始める数理最適化【第2回B】「この荷物、どう積む?」

AIはとても強力な道具ですが、「もっともらしい答え」を返す一方で、必ず正しいとは限りません。制約条件や目的を一つひとつ言葉にしながら、数理最適化によって、あなたのすぐそばにある日常や仕事の悩みを「どう解決を目指すのか」を具体的な事例とともに見ていきます。

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身近な問いから始める数理最適化【第2回B】「この荷物、どう積む?」

AIはとても強力な道具ですが、「もっともらしい答え」を返す一方で、必ず正しいとは限りません。制約条件や目的を一つひとつ言葉にしながら、数理最適化によって、あなたのすぐそばにある日常や仕事の悩みを「どう解決を目指すのか」を具体的な事例とともに見ていきます。

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Dr. Nobuo Inui

Senior Manager of Consulting Group

Dr. Nobuo Inui

Bio

玄関先に届く冷蔵庫、引っ越しトラックに積まれるダンボール。私たちの日常に欠かせない「荷物の積み込み」の裏側には、見過ごされがちな悩みと工夫が存在しています。とくに、積載量や商品サイズがバラバラな配送業務では、限られたトラックでどれだけ効率よく運べるかが、コストや時間に大きく影響します。

この連載では、そんな身近な問いを出発点に、数理最適化という“考える技術”をやさしくひもといていきます。今回は、あなたが家電配送センターの担当者だったら?というクイズ形式で、トラックへの積み方を一緒に考えてみましょう。数理最適化の代表的な問題「配送問題」をもとに、株式会社Gurobi Japanの最適化コンサルティング シニアマネージャー・乾伸雄氏が、最小の台数で最大の効率を実現する方法を解き明かします。

AIはとても強力な道具ですが、「もっともらしい答え」を返す一方で、必ず正しいとは限りません。本連載では、制約条件や目的を一つひとつ言葉にしながら、数理最適化によって、あなたのすぐそばにある日常や仕事の悩みを「どう解決を目指すのか」を具体的な事例とともに見ていきます。

「この荷物、どう積む?」——トラック台数を最小化する積み込み最適化

あなたは、とある家電配送センターの担当者。今日は大型家電の配達日で、Aさん・Bさん宅にそれぞれ複数の荷物を届ける必要があります。ただし問題なのは、その重さとトラックの積載制限。限られた台数で、どう効率よく届けるかがあなたの腕の見せどころです。

あなたなら、どう解く?

では、実際に以下のような条件を踏まえて3択クイズを考えてみましょう。さて、どのような積み方が正しくて、最適なのでしょうか?

条件

  • 運ぶ荷物は以下の2つ:

    • テレビ5台

    • エアコン3台

  • 各商品の重量:

    • テレビ:40kg/台

    • エアコン:50kg/台

  • トラック1台の最大積載量175kg

選択肢

A)最低1台で運べる
B)最低2台で運べる
C)最低3台で運べる

ではここからは、Gurobi Japanの数理最適化コンサルタントの乾伸雄(いぬい・のぶお)氏に解説してもらいましょう。

乾解説:「積み込み問題で、“組み合わせ”を最適化する」

こんにちは、Gurobi Japanの数理最適化コンサルタント、乾です。

このような「限られた容器(トラック)に、異なる重さの荷物をどう詰めるか?」という問題は、積み込み問題と呼ばれ、古くから物流・倉庫・配送業務の効率化に応用されてきました。こうした場面でも、“数理最適化”は力を発揮します。

■ 何を、どれだけ、どう詰める?

今回の目的は、「トラック台数を最小化すること」。それに対して、

  • 各トラックは175kgまでしか載せられない(=制約条件

  • テレビ5台(各40kg)、エアコン3台(各50kg)を全て届ける(=必達条件

このような問題は、「何を・どれだけ・どう組み合わせるか」を計算で導きます。さらに今回の条件を整理すると、

  • テレビ5台(1台40kg) → 合計200kg

  • エアコン3台(1台50kg) → 合計150kg

  • 合計:350kg

  • トラック1台の最大積載量:175kg

つまり一見すると、2台でも運べそうな予感がしてしまいます。では、それぞれの選択肢ついて見ていきましょう。

■ まず、A)1台で運ぶ → ✕ 明らかに不可能

1台の上限は175kg。荷物の合計は350kgなので、どう頑張っても1台には収まりません。

■ 次に、B)2台で運ぶ → ✕ 実はこれも不可能

175kg × 2台 = 最大積載350kgと聞くと、「いけるじゃん」と思うかもしれません。しかしここに罠があります。どう組み合わせても、各台の上限175kgを超えずに、350kgをきっちり分けることができません。試しにいくつかのパターンを考えてみましょう:

  • ✕案1)テレビ3台(120kg)+エアコン1台(50kg)= 170kg

    もう1台にテレビ2台(80kg)+エアコン2台(100kg)= 180kg → オーバー!

  • ✕案2)テレビ2台(80kg)+エアコン2台(100kg)= 180kg → オーバー!

  • ✕案3)テレビ4台(160kg)+エアコン1台(50kg)= 210kg → 大オーバー!

……つまり、“175kgを超えずに、350kgを2つに分ける方法が存在しない”のです。

■ C)3台で運ぶ → ◯正解!

3台に分ければ、十分収まります。たとえばこんな積み方:

  • 1台目:テレビ×3(120kg)+エアコン×1(50kg)= 170kg

  • 2台目:テレビ×2(80kg)+エアコン×1(50kg)= 130kg

  • 3台目:エアコン×1(50kg)= 50kg

これで、全トラックが175kg以下、かつ荷物はすべて配送可能になります。では、数理最適化を使ってどのようにこの問題を解くのか見てみましょう。ここでは一台のトラックに積み込むことができる製品の組み合わせを数えます。すると、次のような組み合わせがありますね。

番号

テレビ台数

エアコン台数

総重量

1

0

1

50

2

0

2

100

3

0

3

150

4

1

0

40

5

1

1

90

6

1

2

140

7

2

0

80

8

2

1

130

9

3

0

120

10

3

1

170

11

4

0

160

この表では、テレビの台数は5台以下、エアコンの台数は3台以下、トラックに積む家電の総重量は175kg以下になっていることに注意してください。

ここで、台数[i]という非負整数変数(0以上の整数を値に取る変数)を使います。この変数は番号がiの積み方のトラックを何台使うかを表します。トラックの台数を少なくしたいので、目的関数は次のようになります。

最小化 台数[1] + 台数[2] + … + 台数[11]

運びたいテレビの台数は5台でしたので、次の制約条件を満たしていることが必要です。この式で係数はその番号の積み方でのテレビの台数を表しています。これによって、テレビを載せるためのトラックが決まります。

1×台数[4] + 1×台数[5] + 1×台数[6] + 2×台数[7] + 2×台数[8] + 3×台数[9] + 3×台数[10] + 4×台数[11] = 5

同じように、エアコンの台数は3台でしたので、次の制約条件を満たしていることが必要です。

1×台数[1] + 2×台数[2] + 3×台数[3] + 1×台数[5] + 2×台数[6] + 1×台数[8] + 1×台数[10] = 3

この問題を解くことによって、どのように積めばトラック台数を少なくできるかを見つけることができます。

「とりあえず積む」から、「最適に積む」へ

現場ではつい、「大きい荷物から」「空いてる順に」といった感覚で詰めてしまいがちです。でも、数理最適化の力を借りれば、限られたリソースで最大の成果を出す方法を客観的に導けます。物流だけでなく、製造、小売、医療など、あらゆる業界に“積み方の正解”があります。

感覚より、合理的な判断を

このような判断、従来はベテラン配達員の「勘」に頼って決めていたかもしれません。けれど、ドライバー不足、再配達問題、環境配慮、さらにはEC市場の拡大など、物流の現場はますます複雑化しています。すなわち、今回でいう制約条件がより多岐にわたるということです。そこで役に立つのが、「直感を補完する数理的な意思決定」です。データと数式で支えられた判断があれば、現場の負担を減らし、再現性のあるオペレーションを構築することができます。

あなたの現場に、“もうひとりの参謀”を——社会課題に挑む合理の力

「これって一部の大企業や研究者の話では?」と思われるかもしれません。でも、だからこそ今、数理最適化が必要なのです。物流の“2025年問題”と呼ばれるドライバー不足や再配達の増加、長時間労働といった社会課題は、現場の努力だけでは限界を迎えています。人口減少が進む日本では、今後ますます「人とAI」「現場とテクノロジー」が力を合わせることが不可欠になります。

数理最適化は、こうした複雑で多様な制約を乗り越え、最善の一手を導き出す“もうひとりの参謀”です。勘や経験だけでは立ち行かなくなるこれからの時代にこそ、論理と数字による判断が、組織にも社会にも求められているのではないでしょうか。

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