導入事例
Gurobi + 株式会社ヨックモッククレア
解決すべき課題

ヨックモッククレアは、1969年に設立したヨックモックの関連会社であり、ヨックモックグループの中核企業として、クッキーを中心とした菓子製造を担っています。
製造拠点は日光、鹿沼、東京の3工場となり、生産ラインの総数は32ライン、それらを2シフト体制のもと、年間約150種類、3億5000万個もの菓子を製造しており、最終製品は約500種類にも上ります。このような規模の菓子製造を確実に実行するため、日別生産計画の立案は、ヨックモッククレアにとって非常に重要な業務になっています。
しかしながら、日別生産計画の立案業務は非常に複雑で業務負荷が高いため、ヨックモッククレアは複数の課題を抱えていました。3工場の生産計画を最適化するには、各工場のリソースを考慮しながら、適切な生産量の確保、納期遵守、工場間および年間の生産負荷の平準化、工場全体の稼働最大化を実現する必要があります。また、販売計画や需要予測の見直しなどによる、頻繁な計画変更への柔軟な対応も求められます。これら多くの要件を満たす計画を、3工場全32ライン2シフト体制のもとに、全製品の種類が500にも上る日別生産計画の立案を行う必要があります。そのため、この業務は熟練担当者の知識や経験に深く依存しなければならず、優秀な人材が計画立案業務に多くの時間と労力を取られてしまうため、属人化、後継者不足、他の重要業務の遅滞という問題を引き起こしていました。
さらに、近年の物価上昇などによる製造コストの値上がりに対応するため、原価管理活動の活性化が急務でしたが、これら問題を解決に導ける能力を備えた担当者が、生産計画立案に膨大な時間を取られている状況が続き、彼らのリソースを十分に他の業務に振り向けられないような状況も続いていました。
システム選定
ヨックモッククレアでは、これら課題を解決するため、システム導入による計画立案業務の効率化を決断しました。
日別生産計画のシステム化により、意思決定の迅速化、作業標準化、属人化の解消、業務効率の向上、ヒューマンエラーの排除、状況に応じた柔軟で迅速な計画変更等が実現可能になると期待したからです。
当初は費用が安価で、計画立案者が使い慣れている既存のExcelフォームの改善を検討しましたが、大幅な改善は見込めず、複雑な数式やマクロにより新たな属人化の問題が発生するリスクがあるということが判明しました。
次に、完成された既存のパッケージソフトウェアの導入を検討しました。これは導入が容易、で導入までの時間も要しないというメリットがありましたが、ヨックモッククレアの要件を完全に満たすものが見つからず、パッケージソフトウェアであるがゆえにそのカスタマイズに多大な費用と時間が必要になることも分かりました。
Gurobi 採用の背景
最終的にヨックモッククレアが選択したのは、世界で多くのグローバル企業が採用している高性能な数理最適化ソルバーGurobi Optimizerを基盤にした、自社の複雑な要求にも対応可能なシステムの開発です。これにより、ヨックモッククレアの要件を完全に満たすシステム構築が可能となり、かつ、将来的なシステムの拡張性も高いと判断したためです。 また、Gurobi Optimization LLCの関連会社であるオクトーバー・スカイ社(現 株式会社Gurobi Japan)が、多様な産業分野においてGurobiを採用した様々なシステムの構築経験が豊富にあったことも大きな要因でした。
Gurobi導入後の成果
Gurobi Optimizerを基盤とした日別生産計画システム導入の結果、ヨックモッククレアは日別生産計画立案業務の大幅な改革と原価管理等の戦略的業務への注力という大きな成果を挙げることができました。
1. 日別生産計画立案業務の改革の実現
日別生産計画のシステム化により、意思決定の迅速化が実現しました。本業務の意思決定を各工場から本社生産管理部に集約し管理統制が可能になったことで、全社的な視点での意思決定が可能になりました。また、作業の標準化ができるようになったことで、属人化が解消でき、誰もが同じ品質の計画を立案することができるようになりました。これにより、後継者不足の問題も同時に解決に向かいました。
業務効率化の面では、各工場で年間約600時間もの工数を削減するこが可能になりました。今まで人手で行っていた複雑な計算や調整等を、システム化により自動的に対応できるようになったためです。また、システム化により、より精度の高い計画が立案できるようになり、計画の自動化が、ヒューマンエラーのリスク低減に大きく貢献しました。
さらには柔軟性も向上し、計画立案のリードタイムが大幅に短縮され、従来は2〜3週間かかっていた初回の計画立案を最短で1日でできるようになりました。これにより、様々な状況の変化に即座に対応ができるようになり、市場の変化や突発的な事態にも迅速に対処できるようになりました。
2. 原価管理等の戦略的業務への注力が可能に
原価管理等の戦略的業務への注力が可能になったのも、大きな成果の一つです。本システムの導入によって実現された業務効率化で創出したリソースを、原価管理等の戦略的業務に振り向けられるようになりました。これにより、より深い分析や長期的な戦略立案が可能になり、ヨックモッククレアの競争力向上につながっています。
3. 導入後に求められた対応
システム導入のテストフェーズでは、数理最適化技術を基盤としたシステムの、いくつかの課題解決に関して新たな経験もしました。要件定義の難しさは、特に大きな課題であり、数理最適化技術を基盤としたシステム構築において目的と制約を明確にし、人が実施していた作業を数理最適化のアプローチとして理解することがとても重要でした。また、システム本格稼働前に発見された不具合への対応にも苦心しました。複数の目的や制約が絡むため、問題の特定が困難でしたが、要件の見直しやデータの単純化、エラーログの確認などを実施して適時迅速に対応しました。
さらに、計画立案に求められるスキル変化への対応も必要でした。計画作成から結果確認および修正内容の変更作業に業務が変わる事で新たに要求されたスキル、新しい様式のインプットデータ作成のために必要なスキルなど、従業員の再教育が必要になりましたが、オクトーバー・スカイ社(現 株式会社Gurobi Japan)の迅速なサポート体制や社内における新たな課題解決の取り組みのためのスキームにより、適切に対応することができました。
今後の展望
Gurobi を基盤とし日別生産計画システム導入の取り組みを通じて、ヨックモッククレアは、Gurobi Optimizerが製造業における生産計画の立案業務に非常に有効であること、システムが自動的に膨大なデータと複雑な制約条件の中から最適解を迅速に導き出すことで、業務効率と計画精度の大幅な改善を実現できることを、実感することができました。さらに、従来の属人的な業務体制から脱却し、将来の変化にも対応した持続可能な業務体制を構築できたことも大きな成果だと考えています。
今後の展望としては、月別生産計画立案や生産実行段階における時間帯別の人員配置計画の立案など、他の生産活動領域へのGurobi Optimizerを採用した新たなシステムの導入を検討しています。また、在庫最適化や原材料調達の最適化など、さらに広範囲な分野でのGurobi Optimizerの活用も視野に入れています。