国内: 国内

分野: その他

製品: Gurobi Optimizer

社会環境システム研究センターでは、エネルギーと技術に関わる様々なモデルを構築しています。それらモデルは様々な時間、空間そしてスケールを対象としており、発電部門に関するモデル、一国全体のエネルギーシステムを対象としたモデル、世界全体のエネルギーシステムに関するモデル、再生可能エネルギーのポテンシャルに関するモデル等があります。昨今、エネルギーと技術に関わる課題は沢山ありますが、特に低炭素社会に関しては、日本だけでなく最近ではアジアにも視点を広げ、「CO2を大幅に削減しつつ、発展し暮らしやすい社会はどのようなものか?」についての検討を進めています。日本では、「2050年までに1990年比で80%削減」と言う国際公約があります。その目標値は、1960年当時のCO2排出量と同じです。世界初のトランジスタラジオがようやく発売されたのが、1960年頃です。この時代と同等の生活に戻るのは、非常に難しい事です。このため、CO2を削減するのと同時に暮らしやすい社会の構築を目指し「今の社会に見合った社会像は何か」という研究を、様々なモデルの評価および検証をしています。

 

 

Gurobi Optimizer 採用にあたって

現在扱っているモデル全ての最適化計算に、Gurobi Optimizerを活用しています。特に、世界全体の気候・エネルギー制約のもとでのCO2排出量に関する技術およびエネルギーの組み合わせを検討するモデル、日本の発電部門に関して細かく分析をするためのモデルにおいてGurobi Optimizerを活用しています。「世界で2050年までのCO2排出量50%削減」といった長期目標があるため、世界全体の評価研究においては、多種の技術の組み合わせをモデルで評価しています。例えば、「EUだけが最初に気候変動対策をとった場合はどうなるか?」、「炭素排出権の市場を作ったらどうなるか?」などを評価しています。日本の発電部門に関する評価研究では、「原子力発電所の割合が減少していった場合はどうなるか?」、「節電はどれくらい必要なのか?」等の評価を行っています。これらモデルから最適値を導き出すには、膨大な変数と膨大な制約条件下(モデル変数、制約数は、ともに数百万)での計算が要求されます。日本の発電部門モデルでは、日本全体を60地域に分け、更に季節ごとに電力需要の特性が異なるために19季節に分けています。さらに、時間枠は1時間毎のスロットで、発電所のタイプは約20種類あります。これら全ての組み合わせは、膨大な数になります。また、世界モデルにおいては、国の数が多くなり技術の数が600~700位あるため、その組み合わせもやはり膨大な数になります。そして、これら問題は整数問題として取り扱う必要があります。

Gurobi Optimizerのおかげで、世界モデルの複雑なケースでも2から3時間位、一般のケースではわずか1時間で最適解まで求めてくれます。また発電部門では、再生可能エネルギーのモデルを含めた複雑なケースであっても1日で最適解を導き出しています。以前使用していたソルバーでは、数百万のモデル(総モデルサイズで約2GB以上)をソルバーが読み込む事すらできませんでした。このため、以前はモデルを簡略化し問題を解いていました。しかし、たとえモデルを簡略化しても最適解が求まるまでに約1週間も時間がかかっていました。今ではGurobi Optimizerのおかげで、フルモデルで楽に解けています。

 

最適化技術との出会い

私は、機械システム工学の専攻で、大学3年生頃から今の研究に関わっています。「どの様な技術をどの様に組み合わせて、最適な組み合わせ」という問題など、この頃から最適化手法に関わってきました。無数にある組み合わせの中からどれがベスト(最適)な組み合わせかを求めるには、最適化技術が必要不可欠です。最適化技術のおかげで、コストを最小化するにはどの様なエネルギーおよび技術の組み合わせが良いかを評価することができるようになりました。Gurobi Optimizerの採用にあたっては、大きなモデルを確実に解く事ができ、かつ高速に最適解を求める事ができるかどうかに着眼しました。これまで使用していたソルバーでは、扱っているモデルが大きい場合、解く以前に読み込んでくれない等の問題が発生し、モデルの簡略化を行わなければいけない等の様々な工夫が必要でした。Gurobi Optimizerを使用する事で、5GB、6GBの大規模モデルであっても、確実に計算実行することができるようになりました。モデルを作っていく過程では、制約条件や変数はどんどん増えていくので、ある程度の大きなモデルであっても高速かつ確実に計算できるという事がGurobi Optimizer採用の大きな選択理由と言えます。我々の研究では1回計算させて終わりではなく、設定条件を変え何度も計算を行いその結果を繰り返し比較評価する必要があるため1回当りの計算速度が速いという事は、研究効率の観点から大変重要な事です。1回の計算に1週間かかってしまうと、単純に年間で52回の計算しかできない事になります。

 

最適化技術採用へのアドバイス

独立行政法人 国立環境研究所
社会環境システム研究センター 持続可能社会システム研究室
博士(工学)芦名 秀一氏

最適化ソルバーは世の中にいくつかあります。ソルバーを使ってやりたい事とその費用の問題はありますが、ソルバーの選定には長期的な視点に立ちながら導入時からより良い製品選択していくことが重要です。つまり、ソルバーの選定においては、「痒いところに手が届くソフト」を最初から考えた方が長期的視点からみた場合、結果として良い結果になります。特に実問題を解く場合のソルバー選定時に、これらを考慮する事がとても重要です。小さい問題では解けても、通常、問題はだんだん大きくなっていきます。ある段階で解けなくなってしまってからでは遅すぎます。良いソルバーを選定しておけば、安心してモデルの拡張ができます。私の発電部門のモデルがまさにそうです。以前のソルバーでは少しでも大きくしようとすると解けなくなってしまいました。自分または所属組織の「夢とやりたい事」を実現するためには、最適化ソルバーの選定はとても重要です。

国立環境研究所 Webサイト:
http://www.nies.go.jp/index-j.html

 

 

独立行政法人 国立環境研究所 社会環境システム研究センター

独立行政法人 国立環境研究所は、1974年に国立環境研究所の前身である国立公害研究所として発足して以来、国内外の環境研究の中核的機関として、また、政策貢献型機関としての役割を果たすため、環境政策立案への貢献や技術・システムの社会実装につながる課題対応型研究および分野横断型研究を重視しながら、長期的展望に立った質の高い環境研究を推進しています。環境研究の専門家集団としての高い使命感と幅広い見識を持って広範な研究を推進し、国内外の関連研究実施機関および研究者との連携のもと最大の成果を上げるよう努めながら、様々な環境問題を解決するため適切な情報発信を行っています。
社会環境システム研究センターは、人間と環境の関係の解明、環境と経済の調和した持続可能な社会の構築など、環境と社会の関わりを重視した研究を行うことを目的に設立されました。持続可能社会をどのように創っていくか、とくに人や活動が集中する環境都市をどのように設計し実現していくか、国内外の様々な研究センターと共に協力して研究を進めています。また、地球環境研究センターが中心となって進めている地球温暖化研究プログラムでは、対策面の研究を担当し、経済モデルや統合評価モデルの開発を行いながら、適応策や緩和策の検討を行っています。得られた研究成果は我が国の環境政策ばかりでなく、IPCCやアジアの国々の温暖化対策、低炭素社会構築支援のためにも活かされます。社会環境システム研究センターは、国際的な活動も積極的に行っており、「人間と社会」を広く研究の視野に入れながら、社会経済活動と環境問題との関わりの解明、環境と経済の調和した持続可能な社会のあり方、さらにはそれらを実現するためのシナリオやロードマップ作成等に関する調査および研究等を実施しています。

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